塗装業界の専門用語とは?初心者が絶対覚えるべきワード完全解説!現場の略語や隠語も完全理解!


はじめに:なぜ「塗装用語」を知る必要があるのか?

塗装の現場では、現場独自の専門用語や職人同士の略語・隠語が飛び交います。

「ケレンってなに?」「シーラーってどこに使うの?」「塗り継ぎって何を継ぐの?」
初めて聞く人にとっては、まるで暗号のように感じるかもしれません。

しかし、用語を知ることで次のようなメリットがあります。

  • 職人同士の会話が理解できる
  • 見積書や工事説明書をスムーズに読める
  • 工事の進行状況を正確に把握できる
  • クレーム予防や顧客説明にも役立つ

特に、**「下地処理」「養生」「塗装3工程」**などは、現場で毎日のように使われる基本用語。まずはここからしっかり押さえていきましょう。


工程別|塗装工事で頻出する用語とその背景


1. 足場(あしば)

意味:
高所作業を安全かつ効率的に行うために組まれる仮設構造物。外壁塗装ではほぼ必ず使用されます。

なぜ必要?
職人が安定して作業できるようにするだけでなく、作業中の塗料の飛散や落下物による事故を防ぐためです。

現場での豆知識:
「足場代」は見積書で大きな割合を占める項目ですが、撤去時の手際が悪いと近隣クレームになることもあります。

よく使われる言い回し:

  • 「足場バラす」=撤去する
  • 「抱き足場」=強度重視の足場構造

2. 高圧洗浄(こうあつせんじょう)

意味:
塗装前に外壁や屋根の汚れ・カビ・古い塗膜などを水圧で洗い落とす作業。

なぜ重要?
汚れが残ったまま塗装すると密着不良が起き、塗膜が早期に剥がれる原因になります。

注意点:
高圧洗浄後は乾燥時間が必要。十分に乾かさずに次の工程に進むと、膨れや剥離が起こる可能性があります。

現場での言い回し:

  • 「洗い終わったら養生入るよ」
  • 「旧塗膜がかなり飛んだな」

3. 下地処理(したじしょり)

意味:
塗装前に壁や鉄部の表面を整える工程の総称。塗装の仕上がりと耐久性を大きく左右します。

代表的な下地処理:

  • ケレン(錆落とし)
  • パテ処理(凹み補修)
  • 目粗し(研磨)

なぜ重要?
塗装は「下地8割、塗り2割」と言われるほど、下地処理が仕上がりに直結します。

豆知識:
「目粗し」は塗料が食いつきやすくなる効果があり、特に光沢のある下地には必須です。


4. 養生(ようじょう)

意味:
塗装しない部分をビニールやマスキングテープで覆って、塗料の付着を防ぐ作業。

なぜ大切?
丁寧な養生は「プロの仕上がり」の象徴です。塗料が窓やタイルに飛び散ると、クレームの原因にも。

現場での注意点:
養生が甘いと、風でめくれて塗料が漏れることもあるので、端部のテープ処理がカギになります。


5. シーリング(コーキング)

意味:
外壁材のつなぎ目(目地)や窓の周囲などに、防水材(シーリング材)を充填する作業。

施工の種類:

  • 打ち替え(古いシーリングを撤去→新しく充填)
  • 増し打ち(古いシーリングの上から重ねて充填)

なぜ必要?
経年劣化したシーリングは、雨漏りの原因になります。外壁塗装と同時に施工することが一般的です。

現場での表現:

  • 「増し打ちで対応しますね」
  • 「シール打ち直し必要です」

6. 塗装3工程:下塗り・中塗り・上塗り

下塗り(プライマー・シーラー):
塗料の密着性を高め、下地の吸い込みを止める。

中塗り:
塗膜の厚みを確保し、最終仕上げの下地になる。

上塗り(トップコート):
光沢、耐候性、美観を決定づける最後の仕上げ。

現場の一言メモ:
「塗り継ぎ」=前の塗装面と継ぎ目なく繋ぐこと。
「オーバーコートタイム」=次の塗りまでの待ち時間の上限。

塗料・道具・不良対策|知っておくと差がつく現場の用語と使い分け


塗料・材料に関する基礎知識と専門用語

塗料には、使われる成分や機能によってさまざまな種類があり、現場や用途によって適した選定が必要です。ここでは「初心者が最低限知っておくべき分類と用語」をわかりやすく整理します。


樹脂別の塗料グレード

種類特徴耐久年数の目安
アクリル塗料安価・発色良い・耐久短め約5〜7年
ウレタン塗料柔軟性あり・密着性良好約7〜10年
シリコン塗料現在の主流・コスパ◎約10〜15年
フッ素塗料高耐久・高価約15〜20年
無機塗料紫外線に強い・超高耐候20年以上

機能性塗料の用語

  • 遮熱塗料:太陽光を反射して表面温度を下げる。夏場の屋根に最適。
  • 防水塗料:ひび割れに追従し、建物への水の侵入を防ぐ。
  • 光触媒塗料:太陽光と雨水の作用で汚れを分解&洗浄する「セルフクリーニング効果」。

塗料の状態・管理用語

  • 希釈(きしゃく):塗料をシンナーや水で薄める作業。
  • 粘度(ねんど):塗料のドロドロ具合。状況に応じて調整。
  • 攪拌(かくはん):塗料を均一に混ぜる。機械や棒を使用。
  • ポットライフ:2液型塗料の混合後、使える時間。

✅ ワンポイント:「缶底攪拌忘れ」は塗膜不良の原因になります。


よく使う道具・機材と用途の違い


刷毛(はけ)

用途: 隅・キワ・細部の塗装に使用。刷毛目が出やすいため仕上げに注意。

種類:

  • 平刷毛:広い面の塗り
  • 筋違刷毛:角の塗りに最適
  • 丸刷毛:狭い面や隙間向け

ローラー

用途: 外壁や屋根など広い面積に効率良く塗布できる。

種類:

  • 短毛ローラー:滑らかな面用
  • 中毛ローラー:外壁塗装に多用
  • 長毛ローラー(ラビット):凹凸の激しい面や屋根に向いている

スプレーガン

用途: 吹き付け塗装に使用。スピーディで均一に仕上がるが、飛散対策が必須。

注意点: 風の強い日や近隣住宅がある場合は不向き。


その他の現場道具

  • コンプレッサー:スプレーガンの圧力源。
  • 足場・脚立:高所作業の安全確保に不可欠。
  • バケット:塗料を小分けする容器。ローラーと併用。
  • ネット:塗料の粘度を調整し、異物を除く道具。

仕上がりに差が出る!塗装不良と用語の正しい理解

現場で発生する不具合には共通の原因や対策が存在します。言葉を知るだけでなく「なぜ起こるのか」も理解しておくと信頼度が高まります。


スクロールできます
用語内容と原因
ピンホール塗膜にできる小さな穴。塗料に気泡が混ざった場合などに発生。
ブリスター塗膜が膨れる現象。下地の水分や空気が原因。
クラックひび割れ。構造的な動きや劣化によって起きる。
チョーキング紫外線による塗膜の劣化。表面が粉状に。
剥離塗膜が浮き・はがれる。主に下地処理不良や密着不足が原因。
ムラ塗料の厚み・色の不均一。塗装スピードや重ね方が原因。
ブリード下地の成分が表に出てくる現象。シーラー不足などが原因。

現場で飛び交う“リアルなスラング”と、知っておくべき安全・数値用語


現場でよく使われるスラング・職人の言い回し

塗装業界には、職人同士が日常的に使う「隠語(符丁)」や略語、方言のような表現があります。これらは単なる俗語ではなく、作業指示を簡潔に伝える工夫として根付いています。


作業指示・工程関連

  • 「ケレンかけといて」:サビ落とし・下地処理を頼む
  • 「養生バッチリで」:しっかりカバー・マスキングして
  • 「タッチアップして」:塗り残しを補修して
  • 「乾燥待ち」:次の工程まで塗料が乾くのを待つ状態
  • 「キワ切って」:隅・縁の部分を刷毛で塗っておいて

材料・仕上げに関する隠語

  • ネタ:塗料全般のこと。「ネタ仕込む」は塗料準備
  • シャブい:塗料が薄すぎる状態(希釈しすぎ)
  • コミ:塗料が濃い、粘度が高い状態
  • ピンコロ/リャンコ:1回塗り/2回塗りの俗語
  • 肌がきれい:塗膜表面の滑らかさを褒める表現
  • オレンジピール:ミカンの皮のような凸凹仕上がり

安全管理と数値に関する基本用語


安全に関わる言葉

  • KY(危険予知):作業前に危険を予測し、対策を共有する活動
  • 指差し呼称:「確認ヨシ!」など声と動作で安全を再確認
  • 保護具:ヘルメット、マスク、手袋、ゴーグルなど
  • MSDS(化学物質安全データシート):塗料やシンナーの危険性・取り扱いを明記
  • 換気:溶剤使用時に必須。密閉空間は爆発・中毒のリスクあり

単位・数値に関する用語

  • ㎡(平米):面積の単位(例:外壁180㎡)
  • L(リットル):塗料の容量(例:18L=一斗缶)
  • μ(ミクロン):塗膜の厚み(1μ=0.001mm)
  • 塗布量(とふりょう):1㎡に使用する塗料の量(例:0.2kg/㎡)
  • 乾燥時間
    • 指触乾燥:触れても塗料がつかない状態
    • 硬化乾燥:完全に硬くなり、次工程へ進める状態

初心者がまず覚えておくべき“最重要用語10選”

塗装の現場に入る前に、以下の10語は確実に覚えておくと安心です。会話の7割はこの中で通じます。

  1. ケレン(下地処理の基本)
  2. 養生(保護作業)
  3. 下塗り・中塗り・上塗り(塗装3工程)
  4. シーリング(隙間の防水)
  5. ネタ(塗料)
  6. 粘度(塗料の濃さ)
  7. タッチアップ(補修塗装)
  8. チョーキング(塗膜劣化)
  9. ピンホール(塗膜の小さな穴)
  10. 塗布量(適切な塗料使用量)

よくある質問(FAQ)


Q1. ケレンってどの工程で必要?
A. 鉄部や旧塗膜のある下地では必須です。サビや塗膜を除去しないと、剥がれや浮きの原因になります。


Q2. シーラーとプライマーはどう違う?
A. どちらも下塗り材ですが、シーラーは「吸い込み止め」、プライマーは「密着向上」が主な目的です。


Q3. 養生ってそんなに大事?
A. 養生の丁寧さは、仕上がりの美しさや施主からの信頼につながります。「養生は命」は現場の常識です。


Q4. 水性塗料と油性塗料、どちらを選ぶ?
A. 室内や環境配慮なら水性、耐久性重視なら油性です。臭気や用途によって使い分けます。


Q5. タッチアップは仕上がりに影響ある?
A. 小さい範囲なら問題ありませんが、色ムラに注意が必要です。同じロットの塗料を使いましょう。


まとめ:用語を味方につけて、現場力を高めよう

塗装業界の専門用語を理解することは、現場での信頼とスムーズな作業のカギを握ります。
職人の言葉に「?」とならず、会話の流れが分かれば、技術以外の部分でも信頼される存在になれます。

最初はメモを取りながらでもOK。ひとつずつ覚えて、少しずつ“現場の言語”に慣れていきましょう。

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