工場やプラントの配管を見ると、フランジやボルトのまわりに、厚みのあるテープのような材料が巻かれていることがあります。
これは一般的に「防食テープ」などと呼ばれる、金属を腐食から守るための材料です。
見た目はテープですが、荷造り用のテープやビニールテープとは、目的も仕組みも異なります。
さび丸
フランジに巻いてある、少しベタベタしたテープだよね。普通のテープと何が違うんだろう?
ぬり博士
防食テープは、物を固定するためではなく、金属を水分や空気などの腐食環境から守るために使うものなんじゃ。まずは、その仕組みから見てみよう。
まず結論|防食テープは有効だが、守る場所を理解することが大切
ペトロラタム系防食テープは、金属表面を水分や空気などから遮断するための、有効な防食方法です。
特に、フランジの外周部、ボルト、ナットなどを外部環境から保護する目的で使用されています。
ただし、フランジ面とガスケットの間で起こる「すきま腐食」は、配管の内側を流れる液体や、すきま内部の環境変化が関係する場合があります。
したがって、外側から防食テープを巻くことと、ガスケット接触面のすきま腐食を防ぐことは、同じフランジの防食でも分けて考える必要があります。
そもそも「防食」とは?
防食とは、金属の腐食を防いだり、腐食が進む速度を小さくしたりするための対策です。
鉄を雨の当たる場所へ置いておくと、時間とともに赤錆が発生します。これは、鉄の表面で水分や酸素などが関係する電気化学的な反応が起こるためです。
そこで、塗装や防食テープなどで金属表面を覆い、金属を腐食環境から隔離します。
- 塗装やテープで金属を外部環境から隔離する
- 腐食しにくい材質を選ぶ
- 水分がたまりにくい構造にする
- 亜鉛などを利用して電気化学的に保護する
- 腐食しやすい環境そのものを改善する
さび丸
防食って、塗装することだけじゃないんだ。腐食する環境から離したり、別の金属に守ってもらったりする方法もあるんだね。
防食テープとはどんなもの?
「防食テープ」は、防食を目的としたテープ状材料の総称として使われることがあります。
防食テープには複数の種類がありますが、工場やプラントの配管、フランジ、バルブなどで使われる代表的なものの一つが、ペトロラタム系防食テープです。
ペトロラタム系防食テープは、一般に、不織布などの基材へペトロラタムを主成分とする防食コンパウンドを含ませた材料です。
金属表面へ巻き付け、手やローラーなどで押さえながら凹凸へなじませることで、金属表面を覆う防食層をつくります。
さび丸
普通のテープみたいに、表面だけに接着剤が付いているわけではないの?
ぬり博士
製品によって構造は異なるが、ペトロラタム系では、柔らかい防食コンパウンドを布状の基材に含ませたものが代表的じゃ。固定することよりも、金属へ密着して腐食環境を遮断することが目的なんじゃよ。
ペトロラタムとは何?
ペトロラタムは、石油由来の半固体状物質です。
日常生活で使われるワセリンもペトロラタムの一種として知られているため、見た目や触感を想像する際には、ワセリンに近い柔らかく油脂状の材料をイメージすると分かりやすいでしょう。
ただし、工業用の防食材は、家庭用のワセリンをそのまま使用したものではありません。
防食用途に合わせて、ペトロラタムを主成分とするコンパウンドへ、防錆性や施工性などを持たせるための材料が配合されています。
実際の工業用防食テープは、メーカーが防食用途に合わせて設計した製品です。
一般的な塗装との違い
一般的な塗料は、施工後に乾燥または硬化して、固体の塗膜を形成します。
一方、代表的なペトロラタム系防食材は、施工後も柔軟性や粘着性を保つように設計されています。
液状の塗料を塗り、乾燥・硬化させて塗膜をつくります。
柔らかい防食材を金属表面へ密着させ、テープ状の防食層をつくります。
どちらが常に優れているというものではありません。形状、温度、使用環境、点検方法などに応じて使い分けます。
防食テープはどうやって金属を守るの?
ペトロラタム系防食テープの基本的な役割は、金属表面と外部環境の間に防食層をつくることです。
金属表面へ防食材を密着させることで、外部からの水分や空気などが金属へ接触しにくい状態をつくります。
実際の施工では、防食テープだけを巻けばよいとは限りません。
使用する製品によっては、下塗り材、凹凸を埋める充填材、防食テープ、外側を守る保護テープやカバーなどを組み合わせます。
どの材料を組み合わせるかは、製品の施工要領や使用環境によって異なります。
防食テープはどこに使われるの?
ペトロラタム系防食テープは、製品の適用範囲に応じて、次のような場所で使われています。
- 鋼製配管
- フランジ
- バルブ
- 継手
- ボルトやナットの周辺
- 埋設配管
- 海洋・港湾構造物
- 複雑な形状をした鋼材部分
フランジやバルブは凹凸が多く、一般的な塗装だけでは均一な塗膜を形成しにくい部分があります。
柔軟なペトロラタム系防食材は、こうした複雑な形状へなじませやすいことが特徴の一つです。
フランジとはどんな部品?
フランジとは、配管と配管、または配管と機器を接続するための、つば状の部品です。
2枚のフランジの間へガスケットを挟み、ボルトとナットで締め付けることで、配管内部の液体や気体が漏れにくい接続部をつくります。
- フランジ本体
- ガスケット
- ボルト
- ナット
フランジは分解できるため、配管や機器の点検・整備に適しています。
その一方で、フランジとガスケットの接触部、ボルトとナットのねじ部など、狭いすきまが多く存在します。
「フランジの外側」と「ガスケットのすきま」は別の場所
防食テープとすきま腐食の関係を理解するうえで、最も重要なのが、腐食する場所を分けて考えることです。
| 場所 | 主に接する環境 | 防食を考える際のポイント |
|---|---|---|
| フランジ外周、ボルト、ナット | 雨水、結露、海塩粒子、薬品雰囲気など | 塗装や防食テープなどで、外部環境から保護する |
| フランジ面とガスケットの接触部 | 配管内部の液体、海水、塩化物を含む水など | 材質、流体、ガスケット、構造、電気化学的防食などを含めて検討する |
外側へ巻いた防食テープは、フランジ外面やボルト、ナットを雨水や結露などから保護することを目的とします。
一方、フランジ面とガスケットの接触部は、外側に巻かれたテープより内側にあります。
配管内部を流れる液体が関係してガスケット接触面ですきま腐食が起こる場合、外側をテープで覆うだけでは、その内部環境を直接変えられないことがあります。
さび丸
なるほど。防食テープが守っている外側と、ガスケットが接している内側は、同じフランジでも場所が違うんだね。
ぬり博士
その通りじゃ。防食テープに効果がないのではない。どの部分を、どの環境から守る対策なのかを区別することが大切なんじゃよ。
すきま腐食とは何?
すきま腐食とは、金属と金属の接触部や、金属とガスケットの間などにできる狭いすきまで、局部的に腐食が進行する現象です。
特にステンレス鋼では、ガスケットの下、ワッシャーの下、ねじ部などが、すきま腐食の発生場所になることがあります。
ステンレス鋼の表面には、「不動態皮膜」と呼ばれる非常に薄い保護皮膜が形成されます。
この皮膜が維持されているため、ステンレス鋼は一般的な鉄鋼材料よりも腐食しにくい性質を持っています。
しかし、塩化物イオンを含む水が狭いすきまへ入り込み、その内部と外部で環境の差が生まれると、不動態皮膜を維持できなくなることがあります。
すきまの中で起こる変化
- 水や海水などの液体が、ガスケット周辺の狭いすきまへ入る
- すきま内部の酸素が反応によって消費される
- すきまが狭いため、外部から酸素が供給されにくい
- すきまの内側と外側で、酸素濃度などの環境に差が生まれる
- 金属イオンの加水分解などにより、すきま内部が酸性化することがある
- 電気的な中性を保つため、塩化物イオンがすきま内部へ移動・濃縮することがある
- 不動態皮膜が維持できなくなり、局部的な腐食が進行する
すきま腐食を「酸素が少ないから、その場所がそのまま錆びる」とだけ説明すると、十分ではありません。
重要なのは、狭いすきまによって物質の移動が制限され、すきまの内側と外側に電気化学的な環境差が生まれることです。
その後、酸性化や塩化物イオンの濃縮などが重なり、局部腐食が継続しやすい環境になると考えられています。
さび丸
ただ酸素が少なくなるだけじゃなくて、狭いすきまの中で環境が少しずつ変わり、ステンレスを守る皮膜が保てなくなるんだね。
ステンレスでも腐食するの?
ステンレス鋼は、決して「絶対に錆びない金属」ではありません。
ステンレス鋼が腐食しにくいのは、クロムを含む材料の表面に不動態皮膜が形成されるためです。
しかし、不動態皮膜が局部的に損なわれ、回復しにくい環境になると、孔食やすきま腐食が発生する可能性があります。
特に海水など、塩化物イオンを多く含む環境では注意が必要です。
防食テープを巻けば、すきま腐食は絶対に起きない?
防食テープが適切に施工され、外部からの水分や空気を遮断できれば、フランジ外面やボルトなどの外部腐食を抑える効果が期待できます。
しかし、防食テープを巻いたという事実だけで、フランジに関係するあらゆる腐食が防止できるとは断定できません。
理由は、腐食する場所や原因が一つではないからです。
- フランジ外面が雨水や結露で腐食する場合
- ボルトやナットの周辺が外部環境で腐食する場合
- ねじ部のすきまで腐食する場合
- ガスケット接触面で、配管内部の流体によりすきま腐食が起こる場合
- 異なる種類の金属の接触が影響する場合
- 薬品や温度条件が影響する場合
これらは同時に発生する可能性もありますが、腐食の仕組みは必ずしも同じではありません。
防食テープは、適切な材料選定と施工によって有効な防食方法になります。ただし、目的とする保護範囲を理解し、ほかの腐食要因も確認する必要があります。
防食テープを施工するときに大切なこと
1.覆う前に、金属表面を確認する
防食テープは、金属表面を外部環境から遮断するための材料です。
そのため、施工前の金属表面に水分、油分、ごみ、塩分、除去すべき腐食生成物などが残っていると、それらも防食材の内側に残る可能性があります。
重要なのは、腐食した部分をそのまま覆って見えなくすることではありません。
使用する製品の施工要領に従い、必要な素地調整、清掃、水分や油分の除去などを行い、施工可能な状態に整えます。
さび丸
上から隠せばいいんじゃなくて、巻く前の金属表面をきちんと整えることが大切なんだね。
2.使用する製品の仕様を確認する
防食テープは、製品によって使用できる温度、施工場所、下地処理方法、保護材の必要性などが異なります。
「ペトロラタムテープ」という名称だけで判断せず、施工要領書や製品データを確認します。
3.ボルトやナットの凹凸を整える
フランジには、ボルト、ナット、フランジ外周など、多くの凹凸があります。
凹凸部に空洞が残ると、テープを金属表面へ十分に密着させにくくなります。
製品によっては、ペーストや粘土状の充填材を使用して段差を整えてから、防食テープを施工します。
4.重ね幅と端部処理を守る
テープの重ね幅が不足したり、端部が十分に密着していなかったりすると、連続した防食層を形成できない可能性があります。
メーカー指定の巻き方向、重ね幅、押さえ方に従い、端部や重ね部を十分になじませます。
5.浮きや空気だまりを残さない
複雑な形状へ無理に巻き付けると、テープの下に空気だまりや浮きが生じることがあります。
手袋、圧着ローラー、ヘラなどを使い、金属表面へ十分に密着させます。
6.必要に応じて外側を保護する
施工場所によっては、防食テープの上から保護テープや外装材、保護カバーなどを取り付けます。
これは、防食層を衝撃、紫外線、変形などから守ることを目的とします。
7.施工後も点検する
防食テープを施工すると、金属表面は外から直接見えにくくなります。
そのため、外装材の破損、テープのずれ、端部の浮き、剥がれ、変形、漏えいの兆候などを定期的に確認することが大切です。
必要に応じて防食材を取り外し、内部の金属表面を確認できるよう、点検方法や交換時期も含めて計画します。
防食層の状態を確認し、必要に応じて内部を点検できる管理方法をあらかじめ考えておくことが重要です。
塗装でフランジを守るときの注意点
フランジの防食では、防食テープだけでなく塗装が使用されることもあります。
ただし、フランジは一般的な平らな鋼材と比べて、塗装が難しい形状です。
- フランジ外周の角部
- ボルトやナットの周辺
- ボルトやナットの裏側
- フランジ同士の合わせ目
- 配管とフランジの溶接部
- 下向き面などの見えにくい部分
こうした部分は、塗料が届きにくかったり、一般面よりも膜厚が薄くなったりすることがあります。
そのため、全面を塗装する前に、刷毛などで角部、溶接部、ボルト周辺を先に塗る「先行塗り」や「ストライプコート」が検討されます。
素地調整、清掃、先行塗り、膜厚管理、乾燥・硬化状態の確認など、施工条件も防食性能へ大きく関係します。
また、ボルトやねじ部まで硬化する塗膜で覆う場合は、設備の分解、再締結、締付け管理などへ影響する可能性があります。
実際にどこまで塗装するかは、設備の仕様、開放頻度、ボルト管理方法などを確認して判断します。
論文で試験された「ガスケット型亜鉛陽極」
フランジ面のすきま腐食を防ぐ方法を調べる中で、ガスケット型亜鉛陽極を使用した実証試験が報告されています。
2014年に『材料と環境』へ掲載された、「すきま腐食防止用ガスケット型亜鉛陽極の実証試験結果」という技術資料です。
どのような試験だったのか
試験では、SUS304製の閉止フランジが使用されました。
次の2種類の試料を用意し、天然海水を連続的に流した水槽で84日間浸漬しています。
フランジ面へ薄いガスケット型亜鉛陽極を貼り、その間にガスケットを挟んだものです。
亜鉛陽極を使用せず、通常のガスケットをフランジで挟んだ比較用のものです。
84日後の結果
| 試料 | 試験後に確認された状態 |
|---|---|
| 亜鉛陽極なし | ガスケット外周付近などに局部腐食が発生し、最大腐食深さは0.26mmだった |
| 亜鉛陽極あり | すきま腐食の徴候は認められなかった |
この試験条件では、亜鉛陽極を設置したSUS304フランジに、すきま腐食の徴候は確認されませんでした。
一方、亜鉛陽極を設置しなかったフランジでは、最大深さ0.26mmの局部腐食が確認されています。
この結果は、論文で設定された材質、形状、天然海水、試験期間などの条件において確認されたものです。
「亜鉛陽極を付ければ、あらゆるフランジが永久に腐食しない」と証明したものではありません。
実際の設備へ適用する場合は、材質、流体、温度、圧力、電気的な接触、陽極量、交換時期、ガスケットのシール性などを含めて設計する必要があります。
なぜ亜鉛がステンレスを守ったの?
亜鉛は、ステンレス鋼よりも電気化学的に溶解しやすい金属です。
亜鉛とステンレス鋼が電気的に接続され、海水のような電解質が存在すると、亜鉛側が陽極となって先に溶解し、ステンレス鋼側が陰極として保護されます。
このような方法を、流電陽極法または犠牲陽極法と呼びます。
さび丸
亜鉛が身代わりになって先に溶けることで、フランジを守ったんだね。
ぬり博士
そうじゃ。ただし、亜鉛は守る働きをしながら消耗する。だから陽極の量や交換時期を考えた寿命設計が必要になるんじゃよ。
論文では亜鉛陽極の寿命をどう考えている?
試験に使用された厚さ0.2mmの亜鉛陽極は、84日間で7.3g溶解したと報告されています。
論文では、この消耗量をもとに単純計算すると、厚さ0.2mmの亜鉛陽極の寿命は約167日、厚さ2mmでは約4.6年になると試算しています。
ただし、これは84日間の溶解量をもとにした試算です。
実際には、亜鉛の溶解に伴ってステンレス鋼との接触面積が小さくなり、シール性へ影響する可能性があります。
論文でも、漏えいの可能性を考慮した陽極使用率や寿命設計については、今後の課題とされています。
それなら、ねじ山にジンクを塗れば同じ効果になる?
亜鉛陽極の結果を見ると、「ボルトやねじ山へジンクリッチペイントを塗れば、同じように防食できるのではないか」と考えるかもしれません。
しかし、今回の論文だけから、そのように結論付けることはできません。
| 材料 | 概要 |
|---|---|
| ガスケット型亜鉛陽極 | 金属亜鉛の薄い陽極をフランジ面へ接触させ、電気化学的にステンレス鋼を保護する |
| ジンクリッチペイント | 塗膜中に亜鉛末を多量に含む塗料。適切な素地と導通条件などのもとで防食作用を利用する |
どちらも亜鉛を利用しますが、亜鉛の形状、量、電気的な接触状態、使用場所、膜の構造が異なります。
また、ねじ山へ塗料を施工すると、塗膜厚さや摩擦状態が締付けへ影響する可能性があります。
分解時に塗膜が抵抗となったり、設備側で指定された締付け条件へ影響したりする可能性も考慮しなければなりません。
ボルトメーカー、設備メーカー、塗料メーカー、設備管理者などの仕様を確認したうえで判断する必要があります。
さび丸
同じ亜鉛を使っていても、金属の亜鉛陽極とジンクリッチペイントは同じものではないんだね。
ぬり博士
防食材料は名前だけで判断してはいかん。「どのような仕組みで、どの場所を守る材料なのか」を確認することが大切じゃ。
フランジ本体とボルトの材質が違う場合は?
フランジ本体とボルトに異なる種類の金属が使用されている場合は、使用環境によって異種金属接触腐食についても検討が必要になることがあります。
ただし、異種金属接触腐食は、今回取り上げているすきま腐食とは別の腐食現象です。
実際の影響は、金属の組み合わせ、接触面積、水分や塩分の有無、塗装状態、絶縁状態などによって変わるため、材質が違うという理由だけで腐食状態を断定することはできません。
フランジの防食方法は、どのように選べばよい?
フランジの防食を考える際は、最初から「テープにする」「塗装にする」と決めるのではなく、まず腐食する可能性がある場所と環境を整理します。
- フランジ外面、ボルト、ガスケット面のどこを保護したいのか
- フランジとボルトはどのような材質か
- 配管内部には何が流れているか
- 海水や塩化物を含む流体ではないか
- 雨水、結露、塩害、薬品雰囲気の影響を受けるか
- 配管やフランジの表面温度は何度か
- フランジを開放する頻度はどのくらいか
- ボルトの締付け条件は指定されているか
- 施工後にどのような点検を行うか
こうした条件を確認したうえで、塗装、防食テープ、防食ペースト、保護カバー、材料変更、絶縁、電気防食などを検討します。
一つの方法ですべてを解決しようとするのではなく、腐食の場所と原因に合った対策を選ぶことが重要です。
また、フランジを開放できない場合、外観だけでは内部の腐食状態を断定できません。
必要に応じて、設備管理者や検査担当者による追加調査を検討します。
まとめ|防食テープは「何を守る材料か」を知って使う
今回、防食テープとフランジのすきま腐食について調べて分かったのは、防食方法の名前だけでなく、その材料がどの場所をどのような仕組みで守るのかを理解することが大切だということです。
- 防食テープは、金属を腐食環境から保護するための専用材料
- ペトロラタム系防食テープは、柔らかい防食コンパウンドを含むテープ状材料
- 金属表面へ水分や空気が接触しにくい防食層をつくる
- 施工前の素地調整、清掃、水分や油分の除去が重要
- 凹凸部の充填、重ね幅、端部処理、密着状態も防食性能に関係する
- 施工後も、傷、浮き、剥がれなどを点検する必要がある
- フランジ外側の防食と、ガスケット接触面のすきま腐食は分けて考える
- ステンレス鋼も、塩化物を含む環境ではすきま腐食を起こすことがある
- 実証試験では、亜鉛陽極を設置したSUS304フランジに、84日後もすきま腐食の徴候が確認されなかった
- ただし、試験結果をすべての設備へそのまま当てはめることはできない
- 金属亜鉛陽極とジンクリッチペイントは、同じものではない
さび丸
防食テープは大切な防食方法。でも、どの部分を守っているのかを理解すると、フランジの腐食をもっと正しく考えられるんだね。
ぬり博士
防食で大切なのは、「何を施工するか」だけではない。「どこで、なぜ腐食するのか」を知り、設備の条件に合った方法を選ぶことなんじゃよ。
折戸塗装では、塗装工事を行うだけでなく、腐食の場所や使用環境を確認しながら、防食について学び続けることを大切にしています。
今後も、論文、規格、メーカー資料などを確認し、現場で役立つ防食知識を初心者にも分かりやすく発信していきます。
本記事は、腐食と防食に関する一般的な情報を、公開されている論文やメーカー資料などをもとに整理したものです。特定の設備に使用する材料や施工方法を指定するものではありません。実際の材料選定や施工は、設備仕様、材質、流体、温度、圧力、メーカー施工要領などを確認して決定してください。
- 川辺允志、池田大輔、山本直哉、斉藤清美、室井利允 「すきま腐食防止用ガスケット型亜鉛陽極の実証試験結果」 『材料と環境』63巻6号、391-393、2014年。 J-STAGE掲載情報
- 日東電工株式会社 「防食テープについて」 製品・工法情報
- 日東電工株式会社 「地中埋設向けペトロラタム系防食テープ No.59シリーズ」 製品情報
- 日東電工株式会社 「ペトロラタム系防食テープ No.59シリーズ 施工要領書」 施工要領書
- Association for Materials Protection and Performance 「Crevice Corrosion」 AMPPによるすきま腐食の解説
- NASA Kennedy Space Center 「Forms of Corrosion」 NASAによる腐食形態の解説
